先日、森令子さんという方のセミナーを受講する機会がありました。
この森さんという方は、イタリアの高級ファッションブランド、
フェラガモの新宿小田急特選ショップ店長、日本橋高島屋ショップ店長を歴任。高島屋店長時代にはフェラガモのフィレンツェ本店の売り上げを抜いたという実績を持つ方です。
フィレンツェ本店のフィッティングルームほどの広さしかない店で健闘し、フェラガモの創業者ワンダさんがわざわざ見に来て
「こんな場所で本店の売り上げを超えるなんて!」と驚かせたエピソードを持つ元カリスマ店長です。
現在は、会社を設立して、ブランド業界専門の人材紹介や接客・接遇指導、その他、就職支援の会を設立するなど幅広く活躍されています。
そして、「ケタ違いに売る人の57の流儀」というのは、森さんがこの程出版された著書です。
この本には、業界は違っても薬局の仕事に生かせることがたくさん書かれていますので、抜粋して紹介したいと思います。
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現在は「ロウプレッシャー営業」が求められています。
商品を売り込む前に、商品を提供する販売スタッフの人間性を売るのです。
「自分を売る」接客です。まず、お客様との接点づくりから始めます。
お客様との会話の中で、お客様が何を欲していて、何を考えていらっしゃるのかを探ります。
そのためには「仮説力」が大変重要になります。毎回、シチュエーションによって対応は異なります。
販売スタッフの心配りを、お客様は無意識のうちに観察し、
「この人は心を開いていい人だな」などと判断するはずなのです。
最初にこちらが見られる時間にお客様心理をしっかりと受け止めて対応することが求められます。
時代によって変わるお客様のニーズを読まないといけません。
あなたも今、自分が一人のお客様の立場であれば、「信用できる人から、信用できるものを買いたい」という気分ではないでしょうか。お客様が求めているものを、次のような実践からも知ることができます。
それは、ちょっとでも時間の余裕ができたならば、マネキンの着せ替えをするということです。
同じ日に2度、3度店の前を通られるお客様へのアピールにもなりますし、自分のイメージングの練習にもなります。
もしも、あるお客様がミニスカートに興味を持たれたら、それに合うセーターとバッグと靴を全部持ってきて棚に広げ、コーディネートして見せることができるのです。ここで全身のコーディネートをそのまま買っていくお客様もいますが、たとえ何一つ買われなかったとしてもいいのです。
こうして手間をかけることで、お客様に印象を残せますし、自分のコーディネート力も上がります。
すなわち「可能性」が上がるのです。
突然何もかも売れるような方法はありません。「可能性」を積み上げることこそが、「売れる人」になる近道なのです。
「一生懸命やる」とは「一生懸命勧める」ことではありません。
「一生懸命勧める」とは「自分のWin」で、「お客様のWin」のためではないから成功しないのです。
「お客様のWin」ならば、そのお客様が欲しいものを引き出してあげることになります。
その人の欲しいものをきちんと提供することが、「お客様のWin」になります。
「いらっしゃいませ。よろしければ、お手にとってご覧くださいませ」
最近、私は接客・接遇のセミナーで、この台詞は「絶対に使わないようにしましょう」と研修生に指導しています。
といってもこの言葉、読者のみなさんにもお馴染みのはずです。お客様が店に入って、商品を目にした段階で、まずいわれる言葉です。
しかしこの言葉は、お客様に話しかけているようで、実際には目線も合わせず、実に軽い感じでいわれることが多い言葉です。
お客様にとっては、そのたびに「聞き流す言葉」になっています。これは、お互いにとって何か意味があるのでしょうか?
お客様は、「いらっしゃいませ。よろしければ、お手にとってご覧くださいませ」と挨拶代わりにいわれるよりも、
「秋冬物のコレクションが昨日入ってまいりました」あるいは、
「大丈夫ですか。雨が降ってきましたけれど、傘はお持ちでしたか」と声をかけられるほうが、
言葉を自然と受け止めやすくはないでしょうか。
私はセミナーで、初めてのお客様の気持ちをつかむために、
コーチングのテクニックで「イエスセット」を取り入れています。
「いらっしゃいませ」といったあとに、そのお客様に3~4回続けてイエスといわせる言葉をかけるのです。
その言葉は、その場でお客様と共通認識できる話題です。テレビのニュースではいけません。
「今日のニュース、ご覧になりました?」と聞いても、「いや、テレビは見ないから」といわれたら、イエスではなくノーといわれたことになりますので、それで終わりです。
そうではなく、「ちょうど全店合わせてセールが始まりました」「どこも秋冬物が揃ってまいりました」「今年の夏も暑くなりましたよね。やっと秋らしくなりましたね」といった、その場で、目で見てわかる状況を取り入れます。
私はそれを「つかみのための2分間」の初めに使います。
「いらっしゃいませ」と話しかけてから、お客様の関心が商品へと移るまでの間。
この2分間に、お客様との気持ちの距離を縮めて、信頼関係を築くきっかけをつくるのです。
目の前にいらっしゃるお客様が、商品を買うか買わないかはわかりませんが、誠心誠意の営業姿勢を示すことが大切です。
「売れなかったけれど、お客様に喜んでもらえた」「試着までやっと漕ぎ着けた」、その経験を喜びとすることです。
お客様は買われなかったかもしれませんが、心の中で「丁寧に接客してもらって気分がよかったから、また行こうかな」と思っているかもしれません。
さらに「口コミ効果」というのはとても大きいものです。
その場で、「あなたは感じがいいわね」という言葉を頂戴しなくても、いい接客は善意と同じく、回りまわるものなのです。
あなたの接客がよかったことで店のイメージが上がり、お客様が家族や友人にご紹介くださるかもしれません。
これは店舗販売のみならず、どんな営業や飲食店の接客についても同じことがいえるでしょう。
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森さんのセミナーでは、以下のようなお話がありました。
・接客の3原則は、①笑顔 ②誠実な気持ち・態度 ③スピード
・「ありがとうざいます」の前か後に必ず何かをつけ加える、
耳慣れた言葉を耳慣れたままにしておかない (プラスワンの言葉)
・ポポネポ →ポジティブ、ポジティブ、ネガティブ、ポジティブ
(ネガティブを閉じ込める)
・まずは人間関係の構築を、速攻営業はありえない、
顧客満足度は一歩一歩埋めていく
・あいさつとは相手の目の動きがわかる距離ですることをいう
・信頼は初対面のときに決まる、信頼はもろい、
長い時間をかけて築いても一瞬で崩れることがある
・100(信頼)-1(怒り)=0 →まったく信頼関係がなかった場合、0となる
・100(信頼)-1(怒り)=80→信頼関係があれば、80にすることができる
今、私が勤務している店舗では、「可能性」を積み上げる、ということを実感しています。
薬局が何件も並んでいるのですから、その中でたまたま当薬局を選んでくださった、その理由はさまざまです。
最初のきっかけはどうであれ、「またこの薬局に来よう」と思って帰っていただく、それがすべてだと思います。
もちろんそれはどの店舗でも同じことが言えますので、
「また来よう」「○○を連れてこよう」と思っていただける薬局を目指し、日々勉強していきたいと思います.